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第54話 ◇決めつけんな

Author: 設樂理沙
last update Last Updated: 2025-04-21 10:16:57

54.

 この後も延々と夫は

"ナンダカンダ…… ソレデアレデ……"←グダグダ

何か必死で話してた。

 途中から、私の耳は夫の声をShut Outしてしまった。

 私はコウやミーミのこと、畑の作物のこと、次は西島さんにどんな

献立を考えてあげようかなとか、沙織さんたちと今度はいつ女子会

しようかなとか、気が付いたらあちらでの生活圏のことばかり

考えていた。

 言うべきことは言った。

「じゃ、よ・ろ・し・くぅ !」

 私はそのまま息子たちと会わず、帰路に着いた。

            ◇ ◇ ◇ ◇

 葵にとって俺の存在は虫ケラのように小さなどうでもいいモノに

なっていて、正直驚きを隠せなかった。

 俺の異性に対する魔力は1mmも葵には効かないらしい。

 彼女の前では60才手前の只のクソ親父に過ぎないようだ。

 だんだん惨めにも思えてきたが、何とか口達者を自称している俺は

妻を言いくるめようと、しゃべりまくった。

 はぁ~、疲れた。

 葵の目と耳には、俺の姿は映らず声は届かず……だったか!

 敗北感が襲ってきた。

 彼女はその辺に転がってる石よりも強固と思えるほどで

その意志を曲げることなく、帰って行った。

 はぁー、参った。

 はぁー、疲れた。

 ホント、疲れたぁ。

 ほんとにぃ、アレ(葵)一体誰だよっ!

 俺はテーブルに額を打ちつけ、凹んだ。

            ◇ ◇ ◇ ◇

 姉貴の言ってたことが当たったってわけだ。

 参ったわ。

 女を舐めるんじゃないって吼えてたけど、ほんと俺

葵のこと舐めてかかってたわ。

 だが、離婚だけは何としても阻止したい。

 理由(わけ)なんか、そんな小難しいことじゃないさ。

 愛情がないのに執着するのはおかしいって言われたけど

 決めつけんじゃないって、ほんとは声を大にして言いたかった。

 俺は、葵を息子たちを……家族を捨てていいと思えるほど

醒めているわけじゃないんだからな。

 決めつけんなって!

 見てくれだけで寄って来る女はいても、精神的に支えてくれる

ような女がどこにでも転がっているわけじゃないさ。

 整理整頓の行き届いた居心地の良い部屋、健康に配慮された献立で

できた美味しい食事、子供たちが健全に過ごすことのできる明るくて

暖かい家庭、60才を迎えようとする俺に
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    54. この後も延々と夫は"ナンダカンダ…… ソレデアレデ……"←グダグダ何か必死で話してた。 途中から、私の耳は夫の声をShut Outしてしまった。 私はコウやミーミのこと、畑の作物のこと、次は西島さんにどんな献立を考えてあげようかなとか、沙織さんたちと今度はいつ女子会しようかなとか、気が付いたらあちらでの生活圏のことばかり考えていた。 言うべきことは言った。「じゃ、よ・ろ・し・くぅ !」 私はそのまま息子たちと会わず、帰路に着いた。            ◇ ◇ ◇ ◇ 葵にとって俺の存在は虫ケラのように小さなどうでもいいモノになっていて、正直驚きを隠せなかった。 俺の異性に対する魔力は1mmも葵には効かないらしい。 彼女の前では60才手前の只のクソ親父に過ぎないようだ。                    だんだん惨めにも思えてきたが、何とか口達者を自称している俺は妻を言いくるめようと、しゃべりまくった。 はぁ~、疲れた。 葵の目と耳には、俺の姿は映らず声は届かず……だったか! 敗北感が襲ってきた。 彼女はその辺に転がってる石よりも強固と思えるほどでその意志を曲げることなく、帰って行った。 はぁー、参った。 はぁー、疲れた。 ホント、疲れたぁ。 ほんとにぃ、アレ(葵)一体誰だよっ! 俺はテーブルに額を打ちつけ、凹んだ。            ◇ ◇ ◇ ◇  姉貴の言ってたことが当たったってわけだ。 参ったわ。 女を舐めるんじゃないって吼えてたけど、ほんと俺葵のこと舐めてかかってたわ。 だが、離婚だけは何としても阻止したい。 理由(わけ)なんか、そんな小難しいことじゃないさ。 愛情がないのに執着するのはおかしいって言われたけど 決めつけんじゃないって、ほんとは声を大にして言いたかった。 俺は、葵を息子たちを……家族を捨てていいと思えるほど醒めているわけじゃないんだからな。 決めつけんなって! 見てくれだけで寄って来る女はいても、精神的に支えてくれるような女がどこにでも転がっているわけじゃないさ。 整理整頓の行き届いた居心地の良い部屋、健康に配慮された献立でできた美味しい食事、子供たちが健全に過ごすことのできる明るくて暖かい家庭、60才を迎えようとする俺に

  • 『願わくば……』   第53話 ◇意味の無いオファー

    53.「あなたとなんてよりを戻したくないの。でも、納得しないから納得できるように条件出してあげてるんじゃないの。 それになんなの? その執着。 愛してもない妻にどうしてそんなに執着するのか意味分かんないわ、全く。 家族、近所の人たち、親戚、知人、友人、もうあなたがしてきたことなんて知ってるんだし、私があなたの元を去ったからって誰も驚きやしないし、あなたを責めたりだってしないんじゃない? 25年だよ?  皆、遅いくらいだぜとは思うかもしれないけど。 あなたは何も気にすることはない。 私こそだよ。この25年間、皆からたぶん可哀想な奥さんって思われてきて、本当に私は気の毒な女なんだよ? あなたも私もナーンも失くすモノなんてないんだから。別々の人生を歩んだらいいのよ。分かった? 結婚直後から始まった数々の女性との浮気の証拠、流石に全部とはいえないけど、その手のプロに頼んでとった何人分かの証拠と最近のモノで言えば小野寺さんのモノも、ばっちり証拠を掴んでるから慰謝料も請求します。 話し合いが拗れた場合は弁護士を入れて裁判も辞さないつもり。  本気なのでちゃんと考えてください。  昔のモノは裁判で効力ないと思うけれどまぁ、裁判官の心証に訴えるのに少しは役立つと思うから、情報として一応提出するつもり。 あなたが私たち家族にどんなに非常で残酷な夫であったかが白日の下に曝されるわね。 あなたがほんの小さなことと考えていることを周りの人たちにJudgeしてもらえる機会でもあるわけ」 「葵、君の忌憚のない意見を聞く今のいままで本当にそこまで君を傷つけ悲しい思いをさせていたことに気付いてなかった。 ほんとにごめん、すまない。  昨年の宣言は本心だ。良い夫になる。 もっともっと君につくす。 だから、結論をそう急がず時間をくれないか。  よく話し合おう!  何も今からシングルになって働いて苦労しなくてもいいじゃないか。 今のままなら、経済的にも精神的にも俺が守ってやれる。 50才を過ぎてアラ還になって仕事するって思ってるより大変なことだ。」「貴司さん、どーしてそれを25年前に、まだまだ私たちが若かった頃に言ってくれなかったの? 聞きたいのは私のほう。 どうして60才間近になってからなの? 自分の老後の保

  • 『願わくば……』   第52話 ◇戻らない

    52.  あの日から、あなたのことを夫だと思ったことはない 愛情もなかったのだと、言い切った。  愛情もなかった……ほんとに? あったかもしれないし、今公言したようになかったかもしれない。  もうそんなことはどうでもいい、瑣末なことだ。  今の私には。 何より夫を傷付けてやりたいのだ。  コテンパンに!  だから、愛情もなかった……でよいのだ。 「あなたがずーっと、私以外に余所の女と付き合ってたの25年間だからぁ、 少なくとも25年は待っててもらわないと無理。  今からだと軽く80才ちょい』越えになるから、お互い元気で ないと又、一緒に暮らせないわよ。 健康のためにちゃんと食事の献立に気を付けて長生きして下さい』 「それ、本気言ってるのか?」「本気もほんき。 だけど、どうせ待てないでしょうし……って、待たなくていいから。 あなたなら、今だってその辺歩いてるだけで好きすきぃ~ 付き合ってぇ~抱いてぇ~って、女が何人も出てきそうだし 若い子と誰に遠慮することなく、欲にまみれた人生をこれからも 続けていけばっ……!』 「待つよ、ずっと待つ。 君が俺の家に帰ってくれるまで80才までだって待つさ」 『Non,Non. ただ待つだけじゃダメっ! 清い身体で待ってないとね。病院へ行って男性機能使えないように手術してきてよ。できる?  あなたのようなヤリマンの浮気男の代表みたいな人には 到底無理でしょ?  これまで25年間、妻ひとりでは満足できず1000人切りまでかは 知らないけどそれだけ欲に貪欲だったんだから、死ぬよりつらい ことかもね。  できる? できないでしょ? だから、待たなくていいのよ。  この条件冗談で言ってるわけじゃないから。 この申し出の意味をちゃんと今理解出来てないと思うから 言っとく。   万が一、あなたと復縁したとしても私はあなたとSEXは しなくてもよいっていう意味に必然的になるよね。  復縁しても私は自由に生きるわよ。 何一つあなたに文句は言わせない。  80才にもなって流石に余所の男とSEX出来るとは思わないけど、 あなたへの嫌がらせでハッスルしちゃうかも。ハハハっ」 夫は途中から何も言えず、固まって私の破天荒な話を聞いていた。  面白いぐらい、顔を歪ま

  • 『願わくば……』   第51話 ◇それって誰のこと?

    51.「もしかして、浮気してたってこの俺さまだぞ。妻からもずーっと愛され続けてきたんだぞっ、なぁ~んて思ってた? 余所の女たちからモテモテの俺さまから離れられないだろ惚れた者負け……ほれほれっ、文句言わずこの俺さまにかしずいてりゃあいいんだ、とか。あなたの考えはそんなトコだったンじゃない?『そんなわけないっしょ』 ごめーんっ、それがそうでもなかったの。 あなたは、ずーっと昔に私のATMになってたのぉ。 好き勝手してきたのに突然の宣言。 ほんとっ、あなたってズルいよね。 周りの浮気を重ねた不良仲間が次々奥さんから熟年離婚されるのを間の当たりにして、突然今から妻だけに…… 最愛の妻だけに心を捧げて大切にしてゆくことを誓いますって、私や息子たち、義両親、私両親、友人知人集めて宣言するんだもん。 思わず咽(むせ)た。『なぁ~に言っちゃってんのって』 最愛の妻って? 『誰のことよ』 私思わず誰のことなんだって後ろを振り向いたよ。 それ、私のことじゃないわよねって。 あなたにいつから最愛の妻がいたの? 一度聞いてみたかったのよね。 ねぇ~、その最愛の妻って誰のこと? そんな人、いたの? 」「えっ、何を……君のことだよ、決まってるだろ葵のことに決まってるだろ? 何言ってるんだよ。 最愛の妻は葵、君のことだ。 君しかいない、昔も今も、」俺の声は震えていた。言いながら、心もとなかった。 だんだん、自分の思ってたこと今言ってることに自信がなくなっていた。「君がそれほど傷ついていたなんて……すまない。反省している だから、敢えて皆の前であんなふうに宣言もした。こっちに帰って来てくれないか! 今まで通り親子4人で暮らそう。 君の言うことには耳を傾け、大切にしていく。 家族旅行もたくさんして思い出作りもしていこう!     仕事もボチボチ減らしていって、君や家族と過ごす時間を増やしていくつもりだから。考え直してほしい」

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